男性生殖器はその構造や機能が大変魅力的なものですが、僕くらいのマニアになると好きな器官というものが存在します(笑)。何を隠そう、僕が一番好きな器官はズバリ「精嚢」なのです。精嚢フェチと言ってもいいくらい好きです(笑)。
精嚢というのは位置的には前立腺の上側にあり、膀胱の後ろ側に張り付いている細長い袋状の器官です。長さは5~7センチ程度と言われており、内部にはヒダがたくさんあって小さな部屋に分かれています。
精嚢の働きはよく誤解されるのですが、文字から想像されるような精子を貯める場所ではありません。精巣で作られた精子はその横に張り付いている精巣上体という器官で貯蔵されます。では精嚢は何をしているかというと、精嚢液という物質を作り出しているのです。精嚢液はやや黄色味を帯びた粘り気のある液体で、射精の後の方になって出てきます。精液にはいろいろな成分が混じっていますが、実に約7割を占めているのが精嚢液なのです。つまり精液の大半は精嚢で作られると思って間違いありません。
精嚢は精管が前立腺に合流する部分である射精管に直結しており、射精時には自ら収縮して内容物を前立腺へ押し出します。こうやって精子と前立腺液と精嚢液が混じり合って精液となります。タイミング的には精嚢が収縮を始めるのは最も後であり、精子と前立腺液が空っぽになっても精嚢液だけが出てきます。
精嚢液には果糖とプロスタグランジンが多く含まれ、果糖は精子のエネルギー源となり、プロスタグランジンは子宮の収縮を促すと言われています。また精嚢液にはセメノゲリンという物質が含まれ、これが前立腺液中の亜鉛と結合することにより凝固して粘液状になります。精液のドロドロ感はここから来ているのですね。凝固する理由については精液が膣から流れ出さないようにするためと言われています。そして射精後時間が経つと前立腺液中に含まれるPSAという酵素によってセメノゲリンが分解され、サラサラの液体になります。こうやって子宮に入った精子が運動しやすくしているわけです。精嚢液は驚くべき凄い働きをしているんですね。
それほど重要な器官である精嚢ですが、実は男性生殖器の中では脇役的存在なのです。精巣から始まって精巣上体、精管、射精管、前立腺、尿道へと続く精子の通り道がメインストリートだとすれば、精嚢はちょっと脇道にそれた場所にあるのです。尿道に付随する分泌腺という意味で付属腺と呼ばれることもあります。同じ付属腺にはいわゆる先走り液を分泌するカウパー氏腺も含まれます。ですから精嚢は目立たないけど縁の下の力持ち的な存在なんですよね。
実は精液の量というのは精嚢と密接に関係していることをご存知でしょうか? 精液の約3割は前立腺由来、残りの7割は精嚢由来なのですが、このうち前立腺液の量というのはほぼ一定しており、増えたり減ったりはしません。前立腺液は生成するのにある程度時間を要すると考えられ、連続して射精すると前立腺液はほとんど出てきません。
それに対して精嚢液は比較的短時間で生成されると考えられます。これはちょうど興奮すると先走り液が大量に出てくるのと同じです。常に精嚢内にストックされているわけではなく、興奮が引き金となって精嚢液が大量に分泌されるのです。そのため興奮する間もなく短時間で射精してしまうと精嚢内に残っていた古い精嚢液だけが押し出され、黄色っぽくて量の少ない精液になります。
一方で長時間にわたって興奮が持続し、射精までの時間が長いほど新しい精嚢液が大量に作られるため精液の量が多くなります。色も黄色ではなく透明に近くなります。連続して射精したときも同じで、前立腺液はほとんど出ない代わりに精嚢液は新しく作られるため、透明で水っぽい精液になります。
以上のことから精液の量を決めているのは精嚢であることがわかります。興奮を長時間持続させて大量に精嚢液を作らせることが大量射精の秘訣なのです。精嚢は脇役なのにとても働き者です。僕はそんな精嚢さんが大好きです(笑)。精嚢液でパンパンに膨らんだ精嚢が収縮して中身を押し出しているところを想像するととても興奮します。